福岡高等裁判所 昭和27年(く)44号 判決
ところで、刑事訴訟法第四百二十五条に規定されている即時抗告の申立があつたときに、執行の停止される「裁判」は、即時抗告の申立られた裁判、すなわち、原裁判所のした「決定」を指称するものであることは多言を要しない。これを本件についていうと、即時抗告の申し立てられたためにその執行の停止される裁判は上訴権回復請求事件について原裁判所のした前掲上訴権回復請求の却下決定であつて、所論のように、同却下決定の外、なお前掲抗告人に対する一年六月の有罪判決をも包含するものではない。してみれば上訴権回復請求についてした、原決定に対して、即時抗告の申立をしたからといつて、抗告人に対する右有罪判決の執行が当然に停止さるべきものではないから刑事訴訟法第三百五十五条により上訴権回復請求に基ずく裁判の執行の停止されたことの記録上、認められない本件において、検察官が抗告人の身柄を釈放しないのは、もとより当然であつてこのことを目して、検察官の処分が不当であるということはできない。